相続Q&Aブログ  財産をより多くもらえる寄与分とは?

query_builder 2021/11/19
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相続相談者

Q  通常の相続分より多くの財産を認めてもらえる方法として寄与分というものがあると聞いたことがあるのですが、この寄与分について詳しく教えて下さい 



相続相談員

A 寄与分というのは、被相続人の財産の維持増加に特別の寄与をしていた者がいる場合において、相続発生時の相続人間の公平性を保つために設けられている相続財産を調整するしくみの一つです。


具体的には、この寄与分に相当する金銭的価値を本来の相続財産から控除し、残ったものを相続財産とみなして算定を行います。この結果、寄与分を認めてもらった相続人は、寄与分を考慮しなかった通常の法定相続分の計算で算出した額に比べて、より多くの財産を相続することができます。


生前に財産の維持や増加に特別貢献した相続人が、相続時にこの分をまったく考慮してもらえないことは不合理・不公平であるという観点からこのような定めがあります。  



相続相談者

Q 公平性を考えたしくみということですね。通常より多く財産を相続するための計算方法はあるのですか?  



相続相談員

A 例えば、相続人が子供ABCの3人として相続財産が6000万円だとします。通常の法定相続では、ABCそれぞれ2000万円となりますが、ここで子供Aが被相続人の介護や事業に関して特別に財産的貢献をしたとして600万円の寄与分を主張したとします。この寄与分が認められた場合は、本来の相続財産6000万円から600万円を控除した5400万円を相続財産とみなします。5400万を均等に分けるとABCそれぞれ1800万円となります。そしてAのみは、この1800万円に寄与分の600万円を加えて2400万円とします。この結果、Aが2400万円、BCが1800万円となり、寄与分を考慮しないときに比べてBCは200万ずつ減り、Aが400万円増えたことになります。




相続相談者



Q 生前に財産的貢献した結果生まれた寄与分は、その貢献した者に与えることで公平を図っているということですね。ところで寄与分が認められる事例として、例えばどのようなものがありますか?



相続相談員

A 寄与分は、被相続人の事業に関する労務の提供や財産上の給付をしたり、被相続人の療養看護をしたなどの場合に認めてもらえる場合があります。例えば、親の事業を長年の間無償で手伝っていた、親の事業の借金を肩代わりした場合などにおいて認められる場合があります。 あくまでも財産の維持増加に繋がった、特別な寄与があったといえる場合ですので、労働に対する対価をもらう有償行為の場合は、寄与分は認められないでしょう。





相続相談者

Q 事業で特別な財産的貢献をした場合ですね。この他にも認めてもらえるケースとして、どのようなものがありますか?  


相続相談員

A 他には、親の生活の保護や介護を行っていたときなどにも寄与分が認められる場合があります。ただし、これも、単に一生懸命生活の世話や療養看護をすれば必ず認められるというものではありません。特に直系血族間では、そもそも扶養義務があるため、「一生懸命毎日看護をしていたのだから」と強く訴えたとしても特別の寄与があったと簡単には認めてもらえません。誠心誠意的な主張より、あくまで財産上の効果があったかどうかで判断されることになります。   例えば、本来なら祖被相続人の費用で看護人を雇わなければならなかったけれど、相続人の看護のおかげでその費用の支出を免れたというような事情があったとすれば、このことをきちんと証明しながら主張できるかどうかがポイントとなります。


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