相続相談Q&Aブログ  農地を相続するには許可が必要?

query_builder 2021/09/28
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このブログは、相続に関して主に依頼者からの相談事例をもとに、Q&A形式で再編集したものを掲載するコーナーです。    



相続相談者

Q 私は、農地をたくさん持っていますが、農地を他人に譲渡するには許可が必要と聞きました。妻と子供がいる中、仮に私に相続が発生した場合には、どのような扱いになるのでしょうか?やはり許可が必要なのでしょうか?    



相続相談員

A 仰るとおり農地は、優良農地保護の観点から権利移転に農業委員会の許可が必要となります。農地であっても不動産である以上当然相続財産となりますが、よく皆様が心配される話として、相続に際しても許可がないと農地を取得できないのかという点です。 この点の結論は、原則相続人が相続で包括承継する農地については農地法の許可はいりません。ただし、相続人以外の者に特定遺贈する場合には贈与に準じた扱いとなり、許可が必要となります。    



相続相談者

Q 許可が不要で安心しました。特定遺贈とは何でしょう?もう少し詳しく教えていただけませんか?    



相続相談員

A 遺言によって財産を特定の者に譲ることを遺贈と言います。さらに遺贈には、包括遺贈と特定遺贈があります。包括遺贈は、例えば「相続財産の半分を誰々に渡す」というように一定の割合を示して包括的に財産を譲る方法です。これに対して特定遺贈は、例えば「現金500万を誰々に渡す」というように財産を特定して譲り渡す方法です。 特定遺贈であっても相続人に対するものであれば農地法の許可はいりませんが、 相続人以外の例えば、お孫さんや兄弟、知人などに特定遺贈する場合には農地法の許可が必要となります。



相続相談者

Q 特定遺贈する場合に、相続人かそうでないかによって許可の要否が変わるということですね。そもそも相続人の範囲をよく理解していなかったのですが、孫や兄弟は相続人ではないのですね?    


相続相談員

A いえ、必ずしもそうではありません。相続人には優先順位があり、相続発生時点の親族状況によって相続人となるものが変わります。妻である配偶者は常に相続人となり、これに子供などの直系卑属が第一順となり、子供がいなければ親などの直系尊属、親もいなければ兄弟の順に相続権が移っていきます。 ご相談者のご家庭であれば、妻と子供がいらっしゃるということですので 仮に、今の状況で相続が発生した場合は、妻と子供のみが相続人となります。



相続相談者

Q 妻と子供が農地を相続する場合は、いずれにしても許可はいらないということですね。仮の話になりますが、妻や子以外に、例えば兄弟に農地を遺贈することを考えたとして、実際問題として許可は取得できるものなのでしょうか?許可に必要な条件には何があるのでしょうか?  



相続相談員

A ご兄弟が農業従事者であれば基本的に許可は取得できると思われます。

そもそも何故許可が必要かについてですが、ひと言で言えば農地の保護のためです。 ろくに耕作もできない人が農地を取得して、農地が荒廃したり、不正利用されたりしないよう、譲受人が安定的に農業従事者として耕作できるかどうかを審査するために許可申請が必要となっています。具体的には、自治体によっても異なりますが、基本的には譲受後の農地面積が5000㎡以上必要であったり、年間最低従事日数があったりしますので、その点がクリアできれば許可を取得できる可能性はあると考えられます。



相続相談者

Q それなりの規模で行っている農業者であることが求められているのですね。他に、農地の相続に関して注意することはありますか?



相続相談員

A 農地の相続に関してみなさんがうっかりしやすいものとして、税評価です。 一定以上の財産を相続すると相続税の対象になることはご存じと思いますが、特に農地に関しては財産評価について誤解していることが多いので注意が必要です。 相続不動産を評価するときは、市街化調整区域であれば市町村が算定公表する固定資産税評価額に一定の倍率をかけて算出するのですが、通常の宅地などでは、ほぼ固定資産税評価額と変わりがありません。しかし、一定の農地の場合は、固定資産税評価に何十倍を掛けて計算した額となることがありますので、うっかり、農地を固定資産評価のまま相続財産評価として考えていると大変です。場合によっては思ってもいなかった贈与税が課かってしまうケースがあります。 特に、大きな規模で農業をされている方は、農地面積も莫大で多額の贈与税がかかるリスクも高いので、相続対策として、よく事前に確認しておく必要があります。    



相続相談者

その話を聞くことができて良かったです。うちの実家の農地もどのくらいの規模があるかよく確認しながら相続対策を今から検討したいと思います。ありがとうございました。









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