ほとんどの人が意外と知らない 手付金の本当の意味とは?
売買契約で、みなさんもよく耳にする「手付金」という言葉。
この手付金とは 「契約の証として代金の一部を支払うもの」そう理解されている方がほとんどではないでしょうか?
しかし、正確な意味は違います!
意外に正確な知識が知られていない手付金ですが、実は、安易な理解のままでは 大きなトラブルになってしまうことも・・。
ここでは、手付金の取り交わしのポイントや注意点を押さえておきましょう!
■手付金の正確な意味とは?
まず、手付金は代金の一部として支払われるものではありません。
正確には、売買契約とは別の手付契約に基づき買主から売主に預け入れる金銭で、代金完済時に買主へ返却するものです。
ただ、実際の契約では、そのやり取りの手間を省くために、契約中に「手付金は売買代金の一部に充当する」と記載して代金に組み入れる方法をとっています。
では、そもそも、この手付金の取り交わしには一体どんな意味があるのでしょうか?
手付金の性質には契約成立の証という意味以外にも、次の意味を持つ場合があります。
①解約手付 | 契約当事者双方に一定期間契約の解除権が行使可能な手付 |
②違約手付 | 違約金としての性質があり、債務不履行があった場合に当然に没収される約束で授受される手付
|
以上の二つです
ここでは、解約手付について詳しく触れていきますが
まず、この解約手付の性質である解除権が行使可能についての理解のために、その大前提の話として契約の効力についてお話します。
契約とは、一定の法律効果が発生する約束のことですが、この契約をすると当事者に法的な権利・義務関係が発生します。
売買契約が成立した場合、売主には目的物の所有権移転・引渡債務、買主には代金支払債務が発生します。
そのため一度契約をした後では、「やっぱりこの契約は無かったことにして下さい。」とは当然要求できません。
もし安易に考えて約束を守れなければ、契約相手から債務不履行による損害賠償請求などを受ける可能性が出てきてしまいます。
これを前提に、解約手付が取り交わされた場合はどうでしょう?
この場合は、一度成立した契約であっても、双方に解除権が留保され、一定期間内であれば契約解除が可能となります。
もちろん無条件ではなく、手付金額分のペナルティー金を支払うことが必要ですが、具体的には、買主からは手付金の放棄、売主からは手付金の倍額を支払うことで解除が認められます。
例えば、買主が手付金50万円を売主へ預けた場合、買主はその50万円を放棄することで、売主は預かった手付金の倍額の100万円(差引50万円の損失)を買主へ支払うことで正式に契約を解除することができます。
何故このような法律的な決まりがあるのでしょうか?
それは、私たちは、常に正しい判断ができるとは限らないからでしょう。契約した後に「やはりこの契約は失敗であった。」と判断した場合などでも、スムーズに解約ができるように一定期間の救済措置を設けたものといえます。
さらに言えば、この手付解除は、手付契約に基づく正当な解除権の行使のため違法性がありません。そのため、解除したことによって相手に損害が発生したとしても、原則的には、このために賠償請求されません。金額分のペナルティー金を支払うから、これで手を打っていただき、その他のことは何も言わないで下さい。」と、そう主張できるわけですね。
実際の不動産取引では、手付金は解約手付として取り交わされる場合がほとんどです。
通常は、契約書面中に解約手付なのか、違約手付なのか、手付金の性質がわかるよう記載されますが、仮に何も記載がない場合はどうなるのでしょうか? その場合は、解約手付として推定されます。しかし、この推定とは、「反論がなければその扱いにする」という意味のため、この解除権の有無を巡ってトラブルになってしまう場合もあります。そうならないためにも、まず、きちんと手付の性質が契約書面に記載されているか確認をすることがとても重要です。
それでは、手付金の注意点とは?
こちらは次回の投稿で詳しく解説致します。
お楽しみに?(笑)
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