相続Q&Aブログ 相続財産に借金が多いかも いつまでに何をすればいいの?
相続相談者
Q 最近父が亡くなりました。預貯金や不動産などの財産もありますが、借金もそれなりにあると聞いています。預貯金などのプラス財産よりも借金の方が多かったらどうしようと心配です。この場合、どうすればよいでしょうか?
相続相談員
A 相続が発生したらまず初めに行うことは財産調査です。相続人に対して生前から財産状況を明確にしておかない人も多いため、どこにどれだけの財産があるのか、また、それと同時に借金などがどれくらいあるのか以外に知らないこともあります。それゆえに、まずは財産調査をしっかり行うことがとても重要です。
相続相談者
Q ミスが起きないための財産調査には、どのような方法がありますか?
相続相談員
A まずは通帳を確認することや、不動産であれば役所へ出向いて名寄帳を取得して確認すること、郵送物なども含めてとにかくあらゆる情報を見てみることが大切です。 通帳を確認すると預貯金の残高を知るだけでなく、引き落とし情報などから借入金などの債務も調べることができます。不動産の名寄帳は、市町村ごとに管理していますので、すべての不動産をもれなく調べるには固定資産税の納付通知書などの書面も併せて確認してみることが大切です。
相続相談者
Q 調査の結果、借金の方が多かったら必ず支払なければいけないのでしょうか?
相続相談員
A 財産調査の結果、借金などの負債の方が多い場合などには相続放棄をすることもできます。 ただし、この場合は相続開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申し出る必要があります。3か月を過ぎても相続放棄をしなかった時点で、相続を承認したものとみなされてしまいます。その結果、すべての負債を背負うことになる場合がありますので注意が必要です。
相続相談者
Q 財産調査をして借金の方が多いようであれば、3か月以内に相続放棄を検討したほうがよいということですね。確かに財産調査の重要性がよくわかります。
一点不安なことがあります。もし、3か月を過ぎて正式に相続承認をした後に、新たに気付かなかった借金が発見された場合はどうなるのでしょう?何らかの救済措置はないのでしょうか?
相続相談員
A この3か月という期間は熟慮期間と言いますが、そもそもこの起算点は相続が発生した日ではなく、相続人が相続の開始を知ったときから進行し、相続人ごとに格別に進行します。
また、十分に財産調査をした結果過失なく債務を発見できなかったときのような場合には、 その債務の存在を知ったときから熟慮期間が進行すると判断される場合もあります。
その場合は、債務の存在を知ってから3か月以内であれば相続放棄の申述ができる可能性があります。
ただし、基本的には3か月を過ぎてから債務を発見した場合は、支払義務があると考えたほうが間違いありません。
相続相談者
とにかく財産調査が重要と言うことですね。
相続相談員
そうですね。しかし、相続人がいかに徹底して調査をつくしても個人間の借金の話などは発見できないことのほうが多く、いずれにしても完璧に調べ尽くすことは不可能とも言えます。
だからこそ、相続人がこのような相続債務で思わぬ損害を被らないよう、相続対策として生前に保有財産と借金などの債務を明確に書き記して置くことが最も重要です。
エンディングノートの活用が大切ということもおわかりいただけると思います。
相続相談員
Q 色んな財産や借金がたくさんあって熟慮期間内に調査が終わらない場合はどうすればよいでしょうか?
相続相談員
A 財産調査をしても3か月以内に相続財産を承認するか放棄をするか判断できない場合には、 家庭裁判所に期間の伸長の申立てを行うことで、期間延長が認められることがあります。 この申立てを行えば必ず認めてもらえるというわけではありませんが、財産が複雑であるとか、各地に分散している場合などにより3か月ではまだ調査が不十分であることに正当な理由があれば、それなりに認めてもらえる傾向にあります。
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